研究概要 |
エータ関数は無限積保型形式のプロトタイプであることから、エータ関数ならびに対数エータ関数のモジュラー変換公式の詳形に関する探求は、無限積保型形式研究の本質的な一分野として位置付けられる。本研究では、この古典的問題に立ち返り新しい視点からこれらを総合的に整理することを試みた結果、その代数的算術的性質を明解に表現していると思われる「新しい公式」に到達することができた。対数エータ関数のモジュラー変換公式に現われる定数因子は普遍被覆モジュラー群の加法的指標RademacherのΦ関数として把握される。新たに得られた明示公式はつぎ通りである。a,b,c,dはσ∈SL_2(Z)の成分である. 【numerical fomula】 ただしD(h, k)はいわゆるDedekind和を偶整数化したものである。その基本的性格からΦ関数は数論のみならず幾何学など他の数学分野あるいは理論物理学でもしばしば援用される。本公式がこれらに利用されて新しい知見に結びつくことが大いに期待される。 通常の無限積に現れる因子(1-q^n)を多項式(1-x)のx=q^nにおける値とみて、この多項式を一般の円分多項式に替えるとき、やはり保型関数が得られる。これらの関数の対数関数についても変換公式の詳形を知ることができる。(一部は研究集会で報告済。論文出版は現在準備中)
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