研究概要 |
楕円ファイバー空間の極小モデルの存在について調べた.昨年の研究でいくつかの残された場合があったが,その場合も含め問題をさらに一般化した方が良い記述ができることに気づいた.それは射影的楕円ファイバー空間の底空間のザリスキ開集合上滑らかでしかもその開集合から底空間への開埋め込みがトロイド埋め込みとなる場合である.非特異な底空間上の正規交差因子の補集合の場合や,その因子でのみ分岐する有限次被複空間もこの場合に属する. 局所モノドロミーの位数が3,4,6以外の場合はトーラス埋め込み理論による記述が可能であり,末端特異点のみしか許さない相対的極小モデルの存在がいえる.モノドロミーがべき単でない場合は凸体の分割で得られるモデルでなく,それを有限群で割って得られる空間の末端化を構成するため,記述は複雑であり,また極小モデルをすべて構成したわけではない. 位数が3,4,6の場合は,特殊な方程式で定義される空間の有限群による商空間がまず得られその末端化を作ればよいが,一般次元にも成り立つ方法は見つからなかった.
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