研究分担者 |
和久井 道久 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60252574)
山根 宏之 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10230517)
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60115938)
伊達 悦朗 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00107062)
川中 宣明 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10028219)
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研究概要 |
種数が1のリーマン面,すなわち,トーラス上の共形場理論の枠組みの構成と共形場理論の主たる研究対象である余真空の空間と共形ブロックの空間の詳しい解析を実施した。枠組みの設定は,楕円曲線の変形あるいは幾何学を用いて,特に,楕円曲線上の1点に極をもつ有理型関数の理論を十分に用いて構成された。この構成の最初のポイントは,余真空の空間上の接続の構成である。この接続は余真空の空間の変形パラメータ(モジュライの変形パラメータ)への依存性を記述している。実際,その構成においてはワイエルシュトラスのゼータ関数が重要な役割を果たしている。次の問題は接続に関し,平坦な断面を構成することであった。この断面の構成には,楕円曲線の退化を用いる。すなわち,退化により現れる通常2重点をもつ楕円曲線は射影空間の異なる2点を同一視したものに他ならないので,断面の近似として射影空間上の余真空の空間上の断面を取ることができる。さらにこの余真空の空間へのゼロモード代数の右作用を経て,ゼロモード代数上の線型汎関数とみなすことができる。これにより,1点相関関数をゼロモード代数上の線型対称関数と同一視することが可能となる。ここで重要なのは、適当な有限次元性条件の下では、ゼロモード代数は有限次元となり、古典的な有限次元代数の理論を援用できるところにある。これにより,ゼロモード代数上の対称線型汎関数をゼロモード代数の基本表現上の跡として表示することが可能になる。また,十分な深さを持つゼロモード代数上の対称線型汎関数と相関関数系とが一対一に対応することが明らかになった。
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