研究概要 |
3次元射影空間内のインテグラルカーブを定める4変数多項式環Rの斉次素イデアルIのペーシックシークエンスを(a;n_1,n_2,...,n_a;n_{a+1},...,n_{a+b})(b>0)とする.前年度までに次のことが分かっていた. (1)n_i=n_1+i-1がすべてのi(1<=i<=a')に対して成り立つようなa'(1<=a'<=a)があるとき,n_a'<=n_{a+1}である. (2)n_i=n_1+i-2がすべてのi(2<=i<=a')に対して成り立つようなa'(1<=a'<=a)があるとき,n_a'<=n_{a+1}である. これらに対する証明をもっと発展させて条件を緩くすることができないかと考えていたのだが,それがうまくいき,次のことが成り立つことの証明を与えることができた. (3)a>=2,b>=1を満たすとする.さらに,t+1<=a'<=aを満たす整数t>=1,a'に対し,n_i=n_t+i-tがすべてのi(t<=i<=a')に対して成り立ち,n_{a+1}<n_{a'}とする.標数が0なら,このとき,t(t-1)/2>max{i|n_{a+i}<n_{a'},1<=i<=b}となる. この系として(1)や(2)が成立するという形になる. 以前と同じく(1)〜(3)のどの場合も,「その曲線を含む超局面のうち次数が最小のものが既約である」という条件に置き換えて成り立つ.新しく分かった(1)及び既に分かっているその他の条件を満たすような数列a,n_1,...,n_{a+b}をコンピュータによって求めてみることにより,この(1)が相当に効果的な条件であることが確認できる.しかし,まだ最終的な目標には到達していない.
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