研究概要 |
1.グラスマン多様体の射影埋め込みの双対多様体が超曲面のとき、定義方程式が行列式で表現できるための必要十分条件を得た。また、射影空間内の直線全体のなすグラスマン多様体の双対多様体がPffafianで定義されるという事実を踏まえて、一般にグラスマン多様体のプリュッカー埋め込みの双対多様体をhyper-pffafianと定義した(hyper-determinantの特別な場合)。その座標環は殆どの場合、整閉でないので、余次元1の特異点集合について調べた(2つの成分がある)。 2.研究課題の内容とは異なるが、次の研究も行った。 n次対称群はn-1個の互換(12),...,(n-1,n)で生成され、n次対称群の元はこれらの互換による自然な積表示(最短表示)をもつことから、対称群にBruhat orderという半順序が定義される。交代群に対してこの事実に相当するものがないか、つまり、n次交代群はn-2個の3-サイクル(123),...,(n-2,n-1,n)で生成されるが、n次交代群の一般の元のこれら3-サイクルによる自然な積表示は何か。1つの試みとして、対称群のBruhat orderとは異なる半順序を新たに定義した(これは一般のコクセター群でも同じように定義できる)。交代群の元がこの半順序で、最短表示が可能であるための1つの十分条件を得た。また、最短表示が不可能な元は「殆ど不分解な元」から得られること、8次以下の「殆ど不分解な元」をすべて具体的に構成した。
|