研究概要 |
1.研究代表者がかねてから検討しているモーデル曲線の1-パラメータ族 【numerical formula】 に対しては,c=-2/(27)の例外を除き, Mordell-Weil rankが必ず1以上であることを証明し,また,例外の場合はM.-W rankが0で,有限位数が2であることを示すとともに,その有理点を決定した.さらに,cがQ内で3乗数である場合に,4個の有理点を発見した.これらの独立性の検証は来年度の最重要課題である. 2.また,巡回3次体に対するgeneric polynomialを活用してモーデル曲線の新たな1-パラメータ族 【numerical formula】 を構成した.この曲線のQ-有理点の集合もパラメータsによって定まる巡回3次体の乗法群のある部分集合として記述された.これら二つのモーデル曲線の族は,対応する3次体の生成元の取り方に依存するため,例えば,M_2(s)は必ずしも自明な形でM_1(c)の部分族に対応するわけではない.しかしパラメータcが決定する3次体が巡回体である場合には,対応すべきパラメータsとの対応を決定し,特にcがQ内で3乗数である場合には対応するモーデル曲線同士がisogenousであることを示した. 3.この研究のその時点での主要結果を2002年9月にChennai(India)での国際研究集会で発表した.講演はこの研究集会の趣旨に合わせ,背景にある大問題Birch & Swynarton-Dyer予想への序章としての問題の位置づけを中心に行った.さらに,数学的に踏み込んだ発表を2003年3月に早稲田大学理工学部における恒例の整数論シンポジウムにおいて行った.
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