研究概要 |
1.研究代表者がかねてから検討してきた3次体と関連する楕円曲線の1-パラメータ族に対して,その有理数体上の有理点の集合を対応する3次体のある集合で表示したが,その特性は専ら3次体を与える3次多項式の指定された根に依存し,必ずしも3次体そのものによって確定するのではないことが明らかになり,かねてより知られていた3次対称群のgenericな3次多項式を用いた楕円曲線族 E_0(b):w^3=u^3+bu+b (b∈Q) が最も自然な族であることが判明した.さらにそのshort formであるMordell曲線 M_7(b):y^2=x^3-B^2(B+3), B=4b/9 (b∈Q) を決定するとともに,この多項式の根の有理数体上のアフィン変換で特性が保たれることにもとづいて,今までに得られていた幾つかの族をすべてその部分族として決定した.またE_0(b)に対しては,B=-4,-8/3の二つの例外を除き,Mordell-Weil rankが必ず1以上であることを証明した.さらに例外の場合には,共にM.-W rankが0で,それぞれの有限位数が3と2であることを示し,その生成元を決定した. 2.また巡回3次体に対得ていたモーデル曲線の1-パラメータ族 M_2(s):y^2=x^3+16(s^2-3s+9)^2 (s∈Q) に対して,Hilbert's Th.90にもとずく楕円曲線と,それらの間の有理数体上での同型写像を与えた. 3.この研究のその時点での主要結果を2003年5月と2004年2月にCasablanca/Marakes (Morocco)と西安(中国)での国際研究集会で発表した.講演はそれぞれの研究集会の趣旨に合わせ,背景を含めた報告とした.最終的には後者の報告集において出版される予定である.
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