研究概要 |
(1)考える多元環は代数閉体κ上の有限次元基本多元環とし,多元環は,原始巾等元の1組の基本集合を対象集合とする圏であると見なす.また,その上の自己同型は圏としての自己同型として,対象集合の置換を引き起こすものとする.多元環Aの反復圏A^^^の非負自己同型gで,g^2がA^^^の中山自己同型となるものによってΛ=A^^^/<g>で表される自己入射多元環の間の導来同値について次の結果が得られた.まずAは,gで決まる部分圏A_gとA_g上の両側加群A(g)によって三角行列環【numerical formula】の形に表され,gは,対象の上で写像【numerical formula】の形にすることができる.次に,2つの三角行列環【numerical formula】について,tilting triple (A,T,B)が,あるtilting triple (A_0,T_0,B_0)によってT=(T_0【cross product】_<A_0>ε_1A)【symmetry】(T_0【cross product】_<A_0>ε_2A)の形になるとき,(A, T, B)は(A_0,T_0)-induced tilting tripleであるという.ただし,【numerical formula】とする.すると,上の形の2つの自己入射多元環Λ:=A^^^/<g>とΠ:=B^^^/<h>に対し,A,Bに関する適当な条件の下で,(A_g,B_h)-induced tilting triple (A,T,B)が存在すればΛとΠは導来同値になる. (2)自己入射的中山多元環のHall多元環の計算から,次のことを発見した.すなわち,巡回クイバーの道多元環上の,巾零加群全体からなる圏で定義されるHall多元環の,直既約加群の同型類からなる部分リー代数L^^-が,整数環上の一般線形リー代数と同型になることが分かった.このことから,単純巾零加群の同型類で生成される,L^^-の部分リー代数Lが,整数環上の特殊線形リー代数と同型になることも分かる.以上のことを一般化して,単純複素リー代数をHall多元環によって実現する問題を解くことができた.
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