研究概要 |
濃度がqである有限体κ上の有限次元多元環Aに対して,有限次元A加群の同型類全体を基底とする自由アーベル群は,ホール積によって整ホール代数Η(A)となるが,直既約A加群の同型類全体を基底とする自由部分群は,法q-1で考えると,交換子積をブラケットとして,リー代数L^^-(A)_<(q-1)>をなす.κの代数閉包を一つ固定し,そのなかのκの有限拡大体Kのうち,どのexceptional A加群Mに対してもEnd_A(M)【cross product】_κKが体となっているようなもの全体の集合をΩとする.リー代数の族(L^^-(A【cross product】_κK)_<(|K|-1)>_<K∈Ω>の直積リー代数Πのなかで,単純A加群の同型類[S]によるv_<[s]>=([S【cross product】_κK])_<K∈Ω>の形の元全体で生成される部分リー代数を,Aの退化組成リー代数L(A)_1という.Δがsimply-laced Dynkin diagramであるとき,Aを型Δのdomestic canonical algebraとし,L(A)_1のイデアルI(A)をうまく定義することにより剰余代数の複素化(L(A)_1/I(A))【cross product】_ZCが,型Δの複素単純リー代数と同型になることを示すことができた.また,すべてのexceptional A加群Mによるりv_<[M]>の形のΠの元がすべてL(A)_1【cross product】_ZQに入っていることを示すことによりI(A)の具体的な形も与えた.さらに,有限次元A加群の同型類全体を考える代わりに,有界導来圏のシフトTによる商圏D^b(modA)/<T>の対象の同型類全体を考えることによって,退化組成リー代数に類似な概念が構成できることが分かった.これは,これまでに得られたテイム遺伝多元環による複素単純リー代数の実現との統一を考える上で重要になる.
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