研究概要 |
大域的な曲面上の曲線束に対し,符号数の局所集中性を問う"枠組み"はいくつか知られているが、このうち古田幹雄氏が2000年に与えた局所符号数の定義が,我々の代数幾何的な動機とも良くマッチすることが,当該研究期間中にしだいに明らかになってきた。その要因は曲線束の持つ"特殊性"が考察すべきファイバー芽の境界となるS^1上のリーマン面束の相対接束のフレーミングを規定することから来ている。 また,もとのファイバー芽とそれの半安定環元したファイバー芽の(古田の意味での)局所符号数の比較も,境界付多様体に対するAntiyah-Patodi-Singer式の同変数定理を応用することにより、位相モノドロミーを規定する松本-Mantesionsの不変量に関するデデキント和を用いて記述できる事も明らかになった。そこで現在,「T.Ashikaga, Defect of Furuta's local signature of pencils of curves(仮題)」というタイトルで,これらの研究成果を論文にまとめつつある。現在まだ未完成であるが,鋭意感性に向けて努力したい。しかしこの方面の研究はまだまだ未開拓な面が多く,代数幾何やトポロジーなど複数の領域の境界にあって魅力を保ち続けているので,さらなる研究を継続していきたい。
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