研究概要 |
本年度は分岐理論の一部を有限ガロワ群の作用から代数的トーラスの中心拡大の作用の場合へ拡張した。これを用いるとR.P. Stanley (J. Algebra 49 (1977), 134-148)及び代表者(J. Algebra 79 (1982), 218-234)による、有限群の相対不変式の作る加群が自由になる為の、必要充分条件を、代数的トーラスの中心拡大へ完全に体の標数にも関わりなく一般化することが出来る。しかもこの相対不変式の結果はベースとなる作用を持つ多様体が表現空間=従ってアフイン空間、である必要さえなく正規アフイン多様体でよい。この相対不変式の応用の一つは代数的トーラスの同次元型作用である。代表者は論文(Ann. Inst. Fourier 45 (1995), 681-705)に於いて、標数ゼロの体上の下にフアクトリアル錐体的多様体に錐体的にトーラスが同次元作用をするなら、余自由であると示した。上記の分岐理論の一部は任意標数の体上の正規錐体的多様体へ、これの定理を一般化する。すなわち適当な有限正規部分群の商を通じて、錐体的同次元作用は余自由になる。さらに相対不変式の上記の結果に伴って商写像の分解を因子類群の立場から出来て、この応用として、複素簡約擬似単純代数群(交換子群が単純の場合で全体として単純にはなっていないものをこのように呼ぶことにする)の余正則表現の決定が出来る。当然、道具的には正標数の体にも展開される余地があり、今後の研究が待たれる。また分担者(小木曽)によって、非単純な半単純複素代数群の概均質ベクトル空間の分類の試みが進展している。一つの単純成分で割った部分が非特異という条件の下に、単純成分が二つの概均質ベクトル空間の分類が進んだ。分担者(関口)は有限群の巡回部分群から誘導される指標の規約性についての進展をみた。この一般の場合は困難であり、群や拡大に制限がはいっている。
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