研究概要 |
局所体の分岐について、いくつかの進展があった。局所体のwildな分岐をする拡大の研究において、saturated distinguished chain(SDC)が重要なデータを持っていることが確かめられている。SDCから得られるデータはとても具体的で、これを統括的にとらえる枠組みが見つかれば非常に面白い。 ★Kを局所体とし、L/Kをtotally ramified Galois拡大で、拡大次数がp(Kの剰余体の標数)の冪とする。 (1)真の高次分岐群が1つの場合、またはL/Kが(m,m,...,m)型の分岐をしている場合(つまり、G⊃_≠ H_<n-1> ⊃_≠ H_<n-2> ⊃_≠・・・⊃_≠ H_1 ⊃_≠{1}をすべての相異なる高次分岐群としたとき、(G:H_<n-1>)=【triple bond】=(H_2:H_1)=|H_1|=m)、SDCからcanonicalな体の列が生じた: 【numerical formula】 ここで、各nに対してL_n/K_nはやはりtotally ramified Galois拡大で、Gal(L_n/K_n)〓Gal(L/K)が成り立ち、更に高次分岐群たちもそれぞれ対応している。K=∪^∞_<n=1>K_nとおくと、Kは具体的に構成され、またコンダクターc(K/K)が非常に小さい体である。この体は、同種な分岐を持つKの拡大体Lに対してはK上同型にとれるので、これらの拡大を統括的に捉えるための情報を持っているuniversalな体と考えられる。 (2)L/Kを、今度は真の高次分岐群を2つ持つ拡大とする。この場合、高次分岐群をG⊃_≠ H_2 ⊃_≠ H_1 ⊃_≠{1}とし、(G:H_2)=m_3,(H_2:H_1)=m_2,|H_1|=m_1とすると、m_1,m_2,m_3の大小関係により13の場合があるが、それらすべての場合に対してSDCが求められた。
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