有限表示代数系(特に、モノイドと結合的代数)を、主として、書換えシステム(Grobner基底)の手法で研究した。 結合的代数およびその両側加群のGrobner基底の理論を、書換え理論の立場から展開した。それを利用し、代数の自由両側分解を効率的に構成する方法を開発した。それは、自由両側加群上の完備書換えシステムの危険対から、1つ上の次元のシステムの書換え規則を帰納的に構成することで得られる。このことにより、代数のHochschildコホモロジーを有効的に計算することを可能にした。この成果は第1論文に詳しく報告した。 この手法は、パス代数や次数代数にも拡張し適用できると考えられ、今後の研究課題となる。 自由分解が得られても、それから実際にコホモロジーを計算するのが困難な場合も多い。0次元のHochscildコホモロジーは、その代数の中心であるが、モノイドの中心が分かっているときでさえ、モノイド代数の中心を決定することが不可能である。この結果は第2論文に発表予定である。
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