研究概要 |
自然数aをとり、pを奇素数(ただしpはaを割らないとする)、a (modp)の剰余位数をD_a (p)と書き、剰余指数を1_a (p)と書くことにする。 aを固定して素数Pを動かすと、1_a (P)もD_a (P)も奇素数全体の集合Pから自然数全体の集合Nへの写像になっていることが知られているが、特にD_a (P)の性格についてはほとんど何も知られていない。 写像D_a (p)はN全体を"非常に薄く"覆うので、手がかりがつかみにくいのである。 以上のような事実を踏まえた上で、今回我々は剰余位数の分布問題に関して次のような研究を行った: I 値域として、1自然数集合Nの中の剰余類s (mod t)をとった場合 II 値域として、素数集合Pをとった場合 Iについては、漸近式#{p≦x ; D_a (p)≡s(mod t)}〜Δ_a (s, t)π(x)、の存在を証明することができ(ただし一般リーマン予想を仮定する)、さらに、 (1) 係数Δ_a (s, t)の値がeffectiveに求まる. (2) tを固定して、これらの係数をsに関する数論的関数と見た場合、非常に挙動が不規則である といった事実が分かった。 またIIについては、漸近式より弱く#{p≦x ; D_2(p)∈P}《x (log x)^(-2)が得られた。これは上からの評価を与える式だが、有名な『2p+1型素数に関する予想(未解決)』を仮定すると、上の評価式に関して下から同じorderで評価することができ、即ち上の評価はbest possibleであることが分かる。
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