虚アーベル体の相対類数は行列式と「簡単な」因子の積で表せる。 1.津村博文氏との共同研究でなされた、拡張されたDedekind和を成分とする行列式で虚アーベル体の相対類数公式が得られ、この論文が受理された。次の問題はこの一般化されたDedekind和の相互法則を導くことである。 2.奇素数pについてその法pの原始根をgとする。1/pを1/gのべき展開したときの係数を用いてGirstmairは導手pの虚2次体の相対類数を表した。この公式はpべき導手の虚アーベル体まで拡張された。この結果はGirstmairが研究代表者のInkeriの行列式による公式を紹介したMath.Reviewsに述べた問題の解答になっている。また2べき導手の虚アーベル体についても、その2べきの逆数を1/5のべき展開したときの係数でその相対類数を表すことができた。次の問題はこれらの公式を一般の虚アーベル体まで拡張することである。 3.研究代表者は1998年に、導手fの虚アーベル体Kの相対類数を媒介変数を持つ行列式で表わした。この行列Mと、fの倍数f'に対して、Kをf'分体の部分体と見てできる同様な公式の行列M'が適当な条件の下で一致することが分かった。この条件は、Kのガロア群Gの複素数係数の群環のある部分加群に2つの適当な基底を取り、それらにStickelberger elementのような元を作用して得られる2つの表現行列を比較して得られる。Kuceraや最近のEndoの公式は研究代表者のそれを拡張したものであるので、彼らの公式から同様にして2つの表現行列を求めて、その一致する条件を調べることが次の問題である。
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