研究課題
ゼータ関数の対称性を表す、関数等式を、超幾何関数係数のモジュラー関係式を通して研究するという当初の目標は、科学研究費補助金のおかげで大部分達成することができ、次なる段階である、より広いクラスの関数の係数をもつモジュラー関係式を通して、リーマン、アイゼンシュタィン以来160年間に渡って研究されてきた、ゼータ関数の理論の21世紀的超克という段階に至ることが可能になりました。本年度は、過去2年間の研究を、近隣分野、特に、物理、化学の問題への応用という試みにいくつか成功致しました。対象の基本的な構造は、結晶であり、結晶のエネルギーを表す量である、マーデルング定数等が数論的にゼータ関数を通して解明できれば非常に興味深いものであります。今年度出版された論文の内の3編におきまして、格子に付随するエプシュタインゼータ関数の特殊値を、関数等式に同値なモジュラー関係式の同値な表現である、ベッセル級数表示、不完全ガンマ級数表示を用いて表すことにより、過去のあらゆる結果を明確に同定することに成功いたしました。とくに、物理で古くから、イーワルド展開として知られており、テラスによって再発見された、ベッセル級数表示、また、ロシア学派、とくにラブリックによって60年代に展開された不完全ガンマ級数表示の2つは、現在展開中の新研究において重要な例として、進路を導いてくれるものと期待しております。また、これまで行なってきた、2乗平均に関する研究においても、ディリクレL-関数の2乗平均を、ディガンマ関数のそれと捕らえ、特殊関数としての性質をフルに用いることにより、2乗平均の完全解明を致しました。この方面の研究は、継続しており、既に、フルウィッツゼータ関数の一般化である、レルヒゼータ関数の2乗平均の完全解明へと進展しております。フルウィッツゼータ関数については、これまで、リーマンゼータ関数の場合に行なってきた、部分和の積分表示から、あらゆる情報を引き出すという研究を完成致しました。これにより、ゼータレギュラリゼーション等で用いられる、根拠の定かでない多くの公式を厳密に定式化することが可能になりました。この研究は、レルヒゼータ関数等の場合への一般化が進展しております。また、近畿大学理工学部において、ゼータ関数、トポロジー、量子物理学の国際シンポジュームを共催いたしました、その報告集を出版致します。この会が機縁となりまして、平成16年5月には、量子計算の国際シンポジュームを共催し、その報告集を出版予定であります。
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Proc.Intern.Sympos."Zeta-functions, Topology and Quantum Physics" (Springer Verlag)
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