研究課題
今年度は前年度までに達成し得なかった3次の数の2元同時近似の問題の特にその体が非総実である場合の理論の完成を目指した。擬Jacobi-Perronアルゴリズムとその中間近似分数との関連を前年度までにに解明し得たのであるが、証明にある組み合わせ論的な前提を置いていたのだが、その前提部分にあいまいさがあり、結果的に証明にギャップが残っていることが判明した。すなわち同時近似問題とある平面上のタイル貼りと、深い関係があり、ある種の置きかえ操作を無限回繰り返すことにより全平面のタイルが生成されることが、証明に決定的に重要である。しかしながら、どのような場合に平面が生成されかが、明確に記述されていなかった。Jacobi-Perronアルゴリズムについては、伊藤俊次氏等による結果があり、擬Jacobi-Perronアルゴリズムについても伊藤俊次氏等によるノート(未刊行)があるが、残念ながら整理されていない部分があり、そのまま結果を適用することはできなっかった。今年度は、伊藤俊次氏等による結果を踏まえて、この部分の明確な記述化を行うことに成功し、最終的に証明を完成することができた。これらの結果は、現在論文として、執筆中である。また、同時近似の程度と擬Jacobi-Perronアルゴリズムとの関係は、いまだ未解決であった。非斉次近似問題の方であるが、非斉次近似問題を探求する道具として我々が解明したアルゴリズムに関する基礎理論の論文は平成16年度に受理され平成17年度中に出版予定である。
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TSUKUBA JOURNAL OF MATHEMATICS 29,No.1