研究概要 |
本研究は、「幾何学的群論」と呼ばれる分野における諸問題に取り組むことを目的とした、総合的な研究である。 幾何学的群論は、Gromovの先駆的な仕事をきっかけに、最近15年くらい、アメリカ、ヨーロッパで活発な研究が行われている。古典的な組み合わせ群論、双曲幾何学、3次元多様体論、写像類群の理論など様々な分野のテクニック、結果が交錯するダイナミックな分野でもある。 しかしながら、日本においては幾何学的群論の研究は活発とは言えない。この3年間の研究で、日本における幾何学的群論の研究活動のスタートになることも目的とし、一定の成果が出たと考える。 本研究で取り組んだ課題の一つに離散群のCAT(0)空間への等長作用がある。 CAT(0)空間とは、Gromovが測地距離空間に定義した概念で、リーマン多様体で言えば、完備、単連結で、断面曲率が0以下のもの(アダマール多様体と呼ばれる)を測地距離空間に拡張したものである。 離散群Gが与えられたとき、それが等長的、かつ離散的に作用するCAT(0)空間Xを見つけることは、離散群Gの代数的構造を研究する上で、大きな手がかりになる。古典的には、リー群の離散部分群に対して、それに対応する対称空間への等長作用などが、例である。 さらに、次元を最小にするようなCAT(0)空間Xは、Gについて、特別の意味を持つと考えられる。 これにまつわる研究として、Brady-Crispによる先駆的な研究があったが、本研究では、彼らによって提出された問題に肯定的な解決をあたえ、論文"Parabolic isometries of CAT(0) spaces and CAT(0) dimensions", Fujiwara, Koji ; Shioya, Takashi ; Yamagata, Saeko. Algebr.Geom.Topol.4(2004),861--892.として発表した.
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