研究概要 |
M_i→MとY_i→Y(i=1,2,3,...)をそれぞれプロパー距離空間のグロモフ-ハウスドルフ収束列とする.(実際には,点付きグロモフ-ハウスドルフ収束でよい.)M_i上の与えられたラドン測度がM上のあるラドン測度に弱収束すると仮定する.我々は写像列u_i:M_i→Y_iのu:M→YへのL^p-収束(P【greater than or equal】1)の定義を与え,写像空間{u:M_i→Y_i}上定義されたエネルギー汎関数E_iの収束理論を確立した.L^p-収束はY_i,Yを一つのバナッハ空間に埋め込んで定義をするが,今年度はこれがグロモフ-ハウスドルフ近似{φ_i}およびY_i,Yのバナッハ空間への埋め込みにはよらずに定まる事を証明した. 次に我々はCAT(0)-空間上の変分収束を調べた.Y_i, YがCAT(0)と仮定する.すると,L^2-写像空間,{u:M→Y},{u:M_i→Y_i}もCAT(0)-空間になり,自然に定義されたエネルギー汎関数E,E_iは下半連続かつ凸関数になる.ヨストはEに付随したレゾルベントJ^E_λ:X→Xを定義し,研究したが,我々はこれを拡張した.今年度の成果として,以下を証明した.ある定数c∈Rに対してE_iがE+cへコンパクト収束することと以下の(1),(2)の両方が成り立つ事は必要十分条件である.(1)任意のλ>0と任意の有界列u_i∈X_iに対して,J^<E_i>_λ(u_i)は収束部分列を持つ.(2)任意のλ>0と任意の収束列X_i∋u_i→u∈Xに対して,J^<E_i>_λ(u_i)はJ^E_λ(u)に収束する. 応用として,リーマン多様体上の近似エネルギー形式E^ρがρ→0+のとき,標準的なエネルギー形式Eへ収束することを証明した.その結果として,E^ρは本質的スペクトルをもち,そのボトムはρ→0+のとき+∞へ発散して,E^ρのk次固有値はラプラシアンのk次固有値へ収束する事が分かる.
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