研究概要 |
距離空間Xの空でない閉集合全体Cld (X)にHausdorff一様位相を入れた空間に関して,以前,大学院生の栗原と共同研究を行ったが,今年度は,別の大学院生の矢口とさら研究を発展させ,各連結成分がMichaelの意味でuniform ARとなるかなり一般的な条件を与えた.コンパクト距離空間の場合には,古典的な結果として,Cld (X)がHausdorff距離位相に関してANR(AR)になるためには,Xが局所連結(かつ連結)になることが必要十分であることが知られているが,今回得られた結果より;コンパクトでなければ,完全不連結である場合にもANRになり得ることが分かる.結果をまとめた論文は,現在,審査中である. さらに,ノルム空間Xの閉凸集合全体Conv (X)のなす巾空間に関しても,矢口と研究を行い,Hausdorff距離位相を入れた空間の各連結成分およびAttouch-Wets位相を入れた空間がARになることを証明し,結果を論文まとめ学会誌に投稿した.また,Xが可分の場合には,Wijsman位相を入れた空間が局所連結になることは示せたが,ARになるかどうかは今後の研究課題である.なお,Xが有限次元の場合には,Wijsman位相はAttouch-Wets位相と一致するので,Xが可分な無限次元ノルム空間の場合に問題となる. 無限次元多様体に関する研究においては,上記の他に,研究分担者の上原氏との共同研究により,不連続関数の空間の研究を進め,来年度の成果が期待されるようになった.また,普遍空間の研究に関しては,Ageev氏と連絡を取りながら,研究分担者の岩本氏を中心に研究を行って来たが,現在,土台固めの段階である.
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