研究概要 |
本研究課題で当初に掲げたつぎの3つ目標の達成を目指して,研究期間である3年間,研究代表者と研究分担者は相互に協力し合いながら研究を遂行し,それぞれに関して多くの研究成果を上げることが出来た. 1.種々の可分でない空間族に対する普遍空間は,まだ十分に研究がなされていないので,そうした空間の特徴付けを与える. 2.無限次元多様体の理論をさらに豊富なものとするために,自然に現れる可分でない無限次元多様体の様々な具体例を数多く見出し,その位相的,幾何的構造を研究する. 3.上記また関連する研究の応用を見出す. 第1の目標に関しては,BestvinaとMogilskiによるAbsorbing setの理論を,研究代表者と院生の矢口との共同研究および院生の嶺の研究により,非可分の絶対ボレル・クラスへの完全な拡張が出来た.また,研究分担者の岩本の研究により,ネーベリング空間の特徴付けに関するAgeevの証明には不備があることが分かり,今後の完成が期待される. 第2の目標については,巾空間と写像空間に関して多くの成果を上げることが出来た.コンパクトではない距離空間の閉集合全体のなす巾空間は,古典的なVietoris位相ではなく,Hausdorff距離位相,Fell位相,Attouch-Wets位相,Wijsman位相など,種々の位相が導入されて研究されているが,研究代表者は,Banakh, Yang, Kubis,らとの共同研究,および院生の栗原,矢口,嶺らとの一連の共同研究により,こうした巾空間がある種の空間族に対する無限次元の普遍集合と同相になることやARとなることを示した.また,写像空間に関しては,研究分担者の矢ヶ崎により,埋蔵写像空間や同相写像空間に関する結果,研究分担者の上原による上半連続な集合値関数の空間に関する結果などがある. 第3の目標に関しても,研究代表者の他にも,研究分担者の川村と山崎のそれぞれの研究により,興味深い結果を出すことが出来た.
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