研究概要 |
この3年間ほど研究してきた、特異点と代数曲線の退化との関係、特にPencil種数の研究成果について、以下の2編の論文を完成させた。 1.Pencil genus for normal surface singularities, 内容 (1)Pencil種数の定義と、基本種数、幾何種数との比較 (2)任意の2次元特異点の巡回被覆について、それが十分高い位数の被覆群ならその巡回被覆はKodaira特異点になることを示した。 (3)Pencil種数を用いて、Kodaira特異点やKulikov特異点の特徴付けを行った。 2.On some results on weakly Kodaira singularities, 内容 (1)弱Kodaira特異点の定義を与えた。すなわち、Pencil種数と基本種数が一致するものを弱Kodaira特異点という。 (2)代数曲線の退化にある種の操作を施して得られる特異点について、弱Kodaira特異点となる十分条件を与えた。 (3)巡回被覆として得られる特異点について、弱Kodaira特異点となる十分条件を与えた。 これらの成果を、2002年7月の多変数関数論サマーセミナー(山梨県)と、2002年9月に開催された、特異点の日仏シンポジウム(フランス・ルミニー)で講演した。これらの過程で、それまでに得られていた結果の改良をおこなった。また現在研究継続中であるが、複素乗法群の作用を持つ特異点について、代数曲線の退化との関連を調べている。とくに、複素乗法群の作用を持つ代数曲線の退化を考え、昔のOrlik-Wagreich、H. Pinkhamなどの研究との関係を考察中である
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