研究課題/領域番号 |
14540063
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
丸山 研一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70173961)
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研究分担者 |
築山 耕三 島根大学, 教育学部, 教授 (20093651)
越川 浩明 千葉大学, 教育学部, 教授 (60000866)
山内 憲一 千葉大学, 教育学部, 教授 (20009690)
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キーワード | 代数的位相幾何学 / ホモトピー論 / 自己ホモトピー集合 |
研究概要 |
昨年度に始まる研究の2年目であり、初年度と同様に研究の基礎となる事柄についての考察を行った。今一度概略を以下に述べる。 空間の間の写像のホモトピー類は適当な条件下では代数的な構造を持ち、それらを調べることで空間の位相幾何的な性質を理解できることが多々ある。ホモトピー群や(コ)ホモロジー群などもそのようなものの一つであり、位相幾何学の強力な道具であることは論を待たないところである。 本研究では定義域と値域が同じ空間である場合に絞って考察を深めることとした。すなわち自己写像のホモトピー類の研究である。この場合はどのような空間であっても、写像類は結合が誘導する代数的な構造すなわちモノイドと呼ばれる代数的な対象となる。さらにホモトピー群に自明な準同型を誘導する写像の代表するものを集めると半群をなしていて、著者等の以前の研究から有限複体に於いてはこの半群が冪零であることが分かっている。ここに半群が冪零とは半群が零元を持ち、ある整数NがありN個以上のいかなる積も自明となることをさす。この意味Nの最小数を冪零数(nilpotency)と呼ぶ。 15年度の当該研究では上記の冪零数をできるだけ多くの場合に決定しようと試み、階数の低いリー群の場合とホップ空間に対して結果を得ることができた。階数2のホップ空間の場合は(従って階数2のリー群の場合も)これを完全に決定した。また階数3のリー群についても部分的な結果を得ることができた。さらに古典群については階数を大きくしてゆけば冪零数は任意に大きくなることを示すことができた。これらの証明の過程で冪零数についての幾つかの基本的な性質を見出したが、更に一般化できる可能性を残しており、現在考察中である。 上記の結果は現在論文に纏めているが、15年度は科学研究費補助金により、スペインで開催された代数的位相幾何学の研究集会で発表を行った。 また、他の研究分担者もそれぞれの専門的な立場から研究を進めており、成果を得つつある。
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