研究分担者 |
日野 義之 千葉大学, 理学部, 教授 (70004405)
久我 健一 千葉大学, 理学部, 助教授 (30186374)
坪井 俊 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40114566)
佐藤 進 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90345009)
高木 亮一 千葉大学, 理学部, 教授 (00015562)
|
研究概要 |
本研究の目的は,4次元多様体上の積分不可能な2次元平面場であるエンゲル構造の大域的挙動の解明である.特に,エンゲル構造に付随する1次元の特性葉層に着目し,その微分位相幾何学的考察を重点的に行う.2年間にわたる本研究の前半である本年度は,まず,「特性葉層としてどのくらい多様な1次元葉層が実現できるか」について,特性葉層の許容する幾何構造との関連にも留意しつつ研究を進めた.第1の成果として,ゲルシュコビッチの提起した問題「4次元ユークリッド空間上にコンパクトな特性葉を許容するエンゲル構造は存在するか?」を具体的な例を構成することにより肯定的に解決した.そして例の構成法をより一般の場合に適用することにより「与えられた4次元開多様体がエンゲル構造を許容するならばその構造を改変して,コンパクト特性葉を持つようにできる」ことも示した.この結果は論文の形にまとめ,現在投稿中である.第2の成果として,「エンゲル葉層の特性葉層とならない1次元葉層を挙げよ」という問題に取り組んだ.特性葉層が横断的接触構造を許容していることから、特性葉層となるためにはそのホロノミー(第一帰還写像)が常にある種の条件を満たしていなければならないことがわかった.従って特性葉層とならない1次元葉層は量産される.また,特性葉層が接射影構造を許容していることを用いて,悪集合を持つ1次元葉層で特性葉層とならないものを提示した.これらについてはまだ発展の余地があり更に研究を継続中である.第3の成果として,エンゲル構造の特性葉層は摂動に関する剛的曲線であるというブライアント・スーの結果が,エンゲル構造を高次元化したある種の構造に拡張可能であることがわかってきた.これについても次年度で完成に導きたいと考えている.
|