研究課題/領域番号 |
14540075
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
足立 俊明 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (60191855)
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研究分担者 |
宇田川 誠一 日本大学, 医学部, 助教授 (70193878)
江尻 典雄 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80145656)
前田 定広 島根大学, 総合理工学部, 教授 (40181581)
佐伯 明洋 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (50270997)
山岸 正和 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (40270996)
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キーワード | comparison theorem / bow shape / crescent / Kaehler magnetic field / trajectory / complex space form / variation of geodesics / Jacobi field |
研究概要 |
実リーマン幾何学では、三角形の比較定理(トポノゴフの比較定理)が実空間形と一般のリーマン多様体との比較をする上で重要な役割を果たした。ケーラー磁場を用いたケーラー多様体の考察を実施する本研究では、測地線とケーラー磁場による軌道とが作る弓形がこれに対応する良い対象物であろうと考えた。これは、測地線と若干様子を異にするのは近接2点であってもこの2点を結ぶ軌道の存在性がまだ明らかになっておらず比較定理と絡んできていること、また変分と捉えて2辺を軌道としたときの3辺目も軌道である必然性がまだ見いだせないこと、測地線を利用することで測地線に関する種々の定理を利用することができる、などの理由による。 まず対象を明確にするために、軌道に付随した測地線の変分を考えることで、軌道上では複素的である実2次元対象物を構成する。この実曲面が複素的であることが複素空間形であるための必要十分条件であることがわかるので、この性質を利用するために前記の変分から導かれるヤコビ場の実空間形との比較を行った。次に、実曲面上に軌道片の両端を結ぶ曲線を描きクロワッサンとよぶ。クロワッサンの中で周囲を最小とする物を特に弓形とよぶ。トポノゴフの比較定理に近い議論をすることで曲率が上から押さえられているケーラー多様体の弓形の周は、この曲率の複素空間形上の弓形の周よりも短くないことが証明できる。またちょうど一致するのは正則断面曲率がこの曲率になる場合であることもわかる。 今年度の研究では1つ問題点が残されている。それはここで言う弓形は実曲面上の測地線であって必ずしも元のケーラー多様体の測地線ではないことである。このため当初期待していたほど軌道に関する幾何学的な性質が明らかになってはいない。この方向で研究を続けるには、実曲面の曲がり具合を検討することが今後の課題になるようである。
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