研究概要 |
位相空間の次元を代数的トポロジーの手法を用いて捉えるコホモロジー次元論を中心に研究を進めている.実際,一般の位相空間に次元を正確に定義することは(歴史的に見て)容易ではなかったが,さらに実際に位相空間の次元を決定することは,自明なものを除くと難しい.そこで代数的トポロジーを利用してコホモロジー次元論を展開したが,実際の(トポロジー的な)次元との差も評価する必要がある.我々の得た結果は,係数群Q, Z_<(p)>の場合に完全解を,係数群Z_<p^∞>の場合に部分解を与えている.G-acyclic resolutionというアプローチではいくつかの論文があったが,不明確さや誤りを多く見つけられた中で,我々はそのアプローチを完成させている. 一方ANRは多様体や多面体と比較すると構造的には既に非常に複雑なものを含んでいるが,次元/コホモロジー次元についてみると,複雑な構造を許容するに関わらず,R^nとある程度の類似性が期待される.我々は「R^nの互いに交わらないn次元(閉)部分集合からなる集合族は高々可算である」という事実に着目し,ANRでもこの事実はコホモロジー次元の意味で成立することを示した.証明はシェイプ理論による群の射影系の間のpro-epimorphismの議論を利用したもので,ある種の局所連結空間のコホモロジー群の有限生成性及びZ_<p^∞>の部分群のなす減少列の長さの有限性を活用している.
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