研究概要 |
平成15年度研究実施計画のうち,2点穴空きトーラスへの拡張について大きな進展があった. 計画どおり,平成15年7月27日から8月15日にわたりNewton Instituteで開催のプログラムSpaces of Kleinian Groups and Hyperbolic 3-Manifoldsに参加したが,コンピュータを用いてKlein群の極限集合を描くことについてはその道で第1人者のDavid Wright氏と時間をかけてゆっくり議論できたことは非常に有意義であった.この研究集会で発表した"Exploring the quasi-fuchsian space for twice punctured torus"は,OPTiを2点穴空きトーラスへ拡張するための基礎となるべき枠組みを与えるものである.この結果については,平成15年12月8日から12日にわたって数理解析研究所において開催された研究集会,双曲空間に関連する研究とその展望IIにおいても講演「1点穴あきトーラスから2点穴あきトーラスへ」として発表を行った. 上記Newton Instituteにおける研究集会においては,分担者の山下氏と共同でコンピュータグラフィクスを用いて1点穴空きトーラス群のモジュライ空間の実3次元スライスを表示する研究も行い,"From Maskit to McMullen"として発表した.OPTiにおける実2次元のスライスと比較して,格段に多くの情報を一度に表示することができ,今後のKlein群の研究に大きな示唆を与える発表となった.この研究には,研究代表者が開発した別のプログラムであるDelta Viewerが非常に役立った.
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