研究概要 |
双曲的3次元多様体の例外的デーン手術のうち,本質的トーラスを生成する場合に焦点をあて,いくつかの成果をえた。3次元球面内の双曲的結び目に対して、本質的トーラスを生じるデーン手術(トロイダル手術)は,そのスロープが整数か半整数に対応する。半整数スロープのトロイダル手術を許容する最とも簡単な結び目を,橋指数の観点から決定した。すなわち,3橋結び目でそういう手術をもつものは,(-2,3,7)プレッツェル結び目のみであることがわかった。次に,整数スロープのトロイダル手術を考察し,結び目の種数の4倍がそういったスロープに対する最良上界を与えるという予想を提起した。14年度において,この予想を種数が1の結び目と交代的結び目に対して解決した。さらに15年度において予想の完全解決を目指したが、それにはいたらなかった。しかし,本質的トーラスと手術ではりつけるソリッドトーラスの芯との最小交点数を目安として,その値が4以外のときは予想通りの上界をえるにいたっている。トロイダル手術は往々にしてクラインボトルを同時に生成している。3次元球面内の結び目に対して,クラインボトルを生成する手術への結び目の種数を用いた最良上界を与えることに成功した。またその議論を応用して,トーラス結び目,2橋結び目のクロスキャップ数を完全に決定することができた。
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