研究概要 |
鋭角三角形分割(T. Zamfirescuとの共同研究)に関しては、正20面体の表面を12個の三角形を持ちうる鋭角三角形分割を構成し、それが最小個数であることを示し、それを論文にまとめた。また、正12面体に関する類似の結果(14個の三角形からなる鋭角三角形分割があり、11個以下はない)をまとめた論文の修正を行った。更に、球面三角形の場合の結果を公表した。また、前原は、一般の多角形に対して考察している。全く別の観点から鋭角三角形分割とcircle packingとの関連が分かり、今後の発展が期待される。更に、3次元ユークリッド空間や平坦トーラスの鋭角三角形分割も考察した。一般のリーマン多様体に対して鋭角三角形分割をどのように定義するべきかは、極めて興味深い問題と思われる。 球面上の曲線の全曲率(始点,終点,始方向,終方向と長さを与えたとき、始点と終点を結ぶの全曲率最小の曲線を求める問題)に関して、与える条件に少しの制限がある場合には,大円弧,小円弧,大円弧の部分からなる1階微分可能な曲線であることを示した(榎本氏との共同研究).また,一般の場合にも、今一歩のところで、Z型の折れ大円弧の場合を含む結果が得られることが分かり興味深い.更に、離散のバージョンでも類似結果をおおむね得ている。 以前、ある種の曲面(トーラスや射影平面)について、一点の最小跡の長さが、その直径の2倍以上になる点が存在することを示したが、一般に、n点の最小跡の長さに関しても類似の結果(直径のπ倍になるように点を取れる)を示し、凸曲面の場合には、任意の2点以上の最小跡の長さは、その直径の半分より長いであろうという予想を立て、それに関する部分的回答を得て、論文にまとめた。(T.Zamfirescuとの共同研究)。 最後に、「The workshop of Intuitive Geometry」を昨年10月に開催し、外国人3人を含む内外の関連分野の研究者との情報交換を行い有益であったことを報告する。
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