研究概要 |
本研究は極めて多岐に渡っているが,ここでは特に,鋭角三角形分割,曲線の全曲率,正四面体が通る平面の穴,楕円面の最小跡について述べる. 正20面体の表面を8個の非鈍角三角形に三角形分割でき,また,12個の鋭角三角形で三角形分割できることを示し,更に,その個数評価は最良の結果であることを論文にまとめ公表した.正12面体の場合は,表面を10個の非鈍角三角形に分割でき,これが最良の結果である.また,14個の鋭角三角形に分割でき,11個以下には分割できないことを示した.更に,楕円面,一般の凸曲面や,3次元の場合の考察もおこなった. 球面上に曲線の長さと始点と始方向,終点と終方向を与えたとき,それを結ぶ曲線でその全曲率が最小のものを求め,長さがπ/2以下という制限のみで,大円弧,小円弧の組み合わせからなり,小円弧は高々1個で大円弧は高々3個であることを示すこと出来た. 正四面体が通る平面上の穴で,直径と幅の可能な限り最も小さい穴を構成した.更に,4次元5次元において,同様の問題を考察し,論文にまとめた。また,穴の形が円と正方形に限る場合の最小の直径を決定する事も出来た. 楕円面の一般の点の最小跡がその対称点を通る曲率線上の弧であることを示すことに成功した(清原氏との共同研究).更に,Jacobiの最後の定理(楕円面では第1共役跡がちょうど4つの尖点を持つ)に精密な証明を与えることが出来た.また,一般の二次曲面についてもほぼ同様の結果(非コンパクトの場合には,2つの弧となる場合と連結になる場合があるが,)を二次曲面を拡張した,ある種のLiouville計量で考察することによって得た. また,凸曲面の最遠点や,開曲面の閉測地線数についても研究した.
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