研究分担者 |
與倉 昭治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (60182680)
黒川 隆英 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20124852)
坪井 昭二 鹿児島大学, 理学部, 教授 (80027375)
大本 亨 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (20264400)
愛甲 正 鹿児島大学, 理学部, 教授 (00192831)
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研究概要 |
本研究は孤立特異点のモジュライに関して,その境界構造を通じて解析することを主要な目的としている.一般的に,正規孤立特異点には次の3種類のアプローチが可能である:(1)特異点を定義する方程式を通じたアプローチ,(2)特異点解消で得られる強擬凸複素多様体を通じたアプローチ,(3)特異点の境界構造を通じたアプローチ. 今年度の研究では(2)のアプローチを完成させることにより,本来の目的である(3)のアプローチを完全にすることを目指した.境界上のCR構造を通じたアプローチに於いて確立した「安定的写像の変形理論」に基づいて,特異点解消の変形に於ける無限小変形の理論の構成を次のように行った.(a)変形複体を確立した.(b)変形空間に関する調和解析を確立した.(c)変形の障害空間を記述するための層空間に係数を持つコホモロジー群を表現する調和解析のための2重複体を導入し,その調和解析を確立した.この上に特異点解消の変形空間を構成するためには,収束性を保証する新しい解析の方法を確立する必要がある.この点は研究を続行中. また,この結果を2次元有理特異点の同時特異点解消の問題に適用し,射影直線上の重複度2,3,4の錐状特異点の場合に特異点のモジュライ空間のArtin-componentのCR記述を行った.特に,重複度2の場合は同時特異点解消はできないが,パラメータを2重被覆空間へ持ち上げれば同時特異点解消が可能なこと,重複度4の場合のモジュライ空間は2つの非特異な既約成分からなり,その一方のみが同時特異点解消が可能なことが,CR構造の記述によって自然に説明されることを示した.
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