組合せ的デザイン理論を用いた光直交符号の構成に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540100
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 繆 いん 筑波大学, 社会工学系, 講師 (10302382)
• 研究分担者: 篠原 聡 明星大学, 情報学部, 助手 (70439694) ; 三嶋 美和子 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教授 (00283284) ; 藤原 良叔 筑波大学, 社会工学系, 教授 (30165443)
• キーワード: 光直交符号 / 組合せ的デザイン理論 / Incomplete Difference Matrix / 再帰的構成法 / Skew Starter / 有限射影幾何 / 周波数ホッピング系列 / 閾値秘密分散法

研究概要

光直交符号とは、複数の使用者が一つの光チャネルで情報をより効率的伝えるための光多重通信用の符号である。今年度の研究は、主に組合せ的デザイン理論を用いて、より実用的な光直交符号を構成した。
繆は論文[1]でIncomplete Difference Matrixという概念を導入した。これに基づいて、最適な光直交符号に関する二つの再帰的構成法を発見した。この再帰的構成法とコンピュータ・サーチによるDifference Packingとを組み合わせて、周期v≡0(mod 648)、重み4の最適な光直交符号を全て構成した。
藤原・繆は論文[2]でSkew StartとWeilの定理を駆使して、最適な光直交符号の無限系列を数多く構成した。これに基づいて、論文[1]の結果をさらに発展させ、周期v≡0 mod 24、重み4の最適な光直交符号を全て構成した。
篠原は論文[3]、[4]で有限射影幾何のConicとMutually M-intersecting k-arcsを使って、漸近的に最適直交符号を構成した。
光直交符号と密接に関係している周波数ホッピング系列についても、藤原・繆・三嶋は論文[5]で分割型Difference Packingとの同値関係を見つけた。この同値関係に基づいて、藤原・繆・三嶋は最適な周波数ホッピング系列を数多く構成した。
繆は論文[6]、[7]で光直交符号の構成で用いるものと同種の組合せ的デザインを利用して、暗号理論上の問題であるある種の閾値秘密分散法の特徴を付けたり、閾値秘密分散法におけるディーラと参加者の不正行為を防ぐ方法を提案した。
藤原と三嶋は論文[8]、[9]で光直交符号の構成に関連するある種の組合せ的デザインの性質も研究した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Chang, Y.Miao: "Constructions for optimal optical orthogonal codes"Discrete Mathematics. 261. 127-139 (2003)
• [文献書誌] Y.Chang, R.Fuji-Hara, Y.Miao: "Combinatorial constructions of optimal optical orthogonal codes with weight 4"IEEE Transactions on Information Theory. 45. 1283-1292 (2003)
• [文献書誌] N.Miyamoto, H.Mizuno, S.Shinohara: "Optical orthogonal codes obtained from conics on finite projective planes"Finite Fields and Their Applications. (掲載予定). (2004)
• [文献書誌] 宮本 暢子, 篠原 聡: "Mutually M-intersecting k-arcsと光直交符号"明星大学研究紀要(情報学部). 11. 119-126 (2003)
• [文献書誌] R.Fuji-Hara, Y.Miao, M.Mishima: "Optimal frequency hopping sequences : a combinatorial approach"IEEE Transactions on Information Theory. (掲載予定).
• [文献書誌] Y.Miao: "A combinatorial characterization of regular anonymous perfect threshold schemes"Information Processing Letters. 85. 131-135 (2003)
• [文献書誌] R.Tso, Y.Miao, E.Okamoto: "A new algorithm for searching a consistent set of shares in a threshold scheme with cheaters"Lecture Notes in Computer Science. (掲載予定). (2004)
• [文献書誌] Y.Wang, J.Seberry, R.Safavi-Naini, R.Fuji-Hara: "A note on the exposure property of SBIBD"Electronic Notes in Discrete Mathematics. 15. 227-229 (2003)
• [文献書誌] M.Mishima, H.-L.Fu: "Resolvable even-cycle systems with a 1-rotational automorphism"Journal of Combinatorial Designs. 11. 394-407 (2003)