研究課題
遺伝連鎖解析に登場するループのある確率ネットワークに対するLBP(ルーピー・ビリーフ・プロパゲーション)アルゴリズムに関する理論的研究という研究課題に対して、つぎのような研究を行なった。(1)ケイリーツリーという完全グラフ上のイジングモデルを例にとり、LBPアルゴリズムの収束性と、収束した場合にビリーフが正確な周辺確率を復元できる調べた。理論と多くの計算機シミュレーションにより、LBPの収束性とイジングモデルの相転位現象が深く関係していることが確かめられた。イジングモデルの持つ二種類の相転位領域の一方ではLBPは依然収束したが、もう一方の領域では収束がみられないことが確認できた。また、収束してもビリーフは正確な周辺分布を与えないものの、最大確率を与える状態は一致することが確認できた。結果は現在雑誌に投稿中である。(2)確率ネットワークの応用として、企業の経営状態を与える各種の数値と、専門家による主観的な格付けデータを基に、専門家による格付けを経営指数のみから予測する問題を考えた。専門家が主観的に用いる各種ネットワークを用いて、BPアルゴリズムで格付けを予測することがどの程度できるかを実データで調べた。結果として、専門家によるネットワークとは異なる素朴なネットワークを用いた結果がより良い予測値を与えることが示された。結果は現在雑誌に投稿中である。(3)確率ネットワーク等の統計分析にも便利なフリーの統計解析システムRの日本での普及を促進するため、Rを用いた統計データ解析の本を出版した。応用分野を含む多くの研究者に関心をもって好評に受け入れられた。また人工知能学会誌の編集者からの依頼で、Rシステムとその統計機能に関するチュートリアル形式の論文を書いた。(4)バイオインフォーマティックスへの応用を見込んだ学習理論と、ブースティング法に関する基礎研究を行なった。
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人工知能学会誌 v.20, no.1
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Neural Computation (To appear)