研究課題
本年度は主にネットワーク理論において現在強い関心をもたれているスケールフリーネットワークの確率論的な研究をおこなった。スケールフリーネットワークとは、たとえばリンク数などであるいくつかのサイトが「一人勝ち」をおこす現象に対応して考えられたモデルであり、現在そのような一人勝ちがおこるメカニズムを探る研究が活発に行われている。我々は、確率論において昔から知られている「ポリヤの壺」のモデルに着目し、これを変形したモデルを考える事により、一人勝ちがおこる現象を確率論の極限定理として定式化し、証明した。具体的なモデルは以下のとおりである。r個のボールをn個の箱にいれていく。最初にダミーで各箱に1個ずつのボールが入っているものとし、以後各箱に入っているボールの個数に比例した確率でボールがはいるものとしてr個のボールをいれる。この場合、すべてのconfigurationはすべて等しい確率で起こる事がわかり、rとnの比を一定に保ちながらnを無限大に飛ばすとある箱にはいっているボールの個数の分布は幾何分布であることがわかる。次にこれを一般化してボールの個数のある冪sに比例した確率でボールをいれていくとどうなるかを調べた。sが1以下と1より真に大きい場合で著しい相違が起こる事がわかった。すなわちsが真に1より大きい場合に一人勝ちが起こることがわかった。
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Kwansei Gakuin University natural sciences review, 9
ページ: 1-16
Proceedings of the 5^<th> Tunisia_Japan Symposium on Culture, Science and Technology
ページ: 15-18