研究概要 |
フェルミオン場の数学的構造を記述するCAR環の構造をそれが埋め込まれるクンツ環を用いて組織的に解明するために、まずクンツ環自身の構造を以下の観点から明らかにした:1)クンツ環相互の間の埋め込みによる関係、2)クンツ環の自己準同型・自己同型の具体的な構成、3)クンツ環の種々の表現の構成。 そして、これらの結果の直接の応用として、CAR環の種々の非線形な自己準同型を構成し、その自己準同型のあるクラスを用いることによりフェルミオン場系の純粋状態に相当するFock表現から混合状態に相当するKMS状態が構成可能であることを示した。この結果は、フォンノイマン環の分類で重要なAraki-Woods因子と密接に関係している。更に、クンツ環のあるクラスの自己同型をCAR環のクンツ環への埋め込みに制限することにより、フェルミオン場系の非自明な時間発展が具体的に構成出来ることを示した。この結果は、フェルミオン場の可解系の新しい構成法を与えるものである。これらの成果は、論文"Recursive Fermion System in Cuntz Algebra II -Endomorphism, Automorphism and Branching of Representation -"として現在投稿中である
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