研究分担者 |
安芸 重雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90132696)
谷口 正信 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00116625)
白旗 慎吾 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (10037294)
熊谷 悦生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20273617)
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研究概要 |
数理ファイナンスや環境統計という分野において,複雑な変動データの統計解析のための重要な方法として多様な時系列モデルや確率過程母数モデルが研究され,現在,ファイナンスにおけるボラティリティのGARCHモデルや指数型確率過程モデルによる統計的推測が行われているけれども,実用化のためには解決すべき問題が多数存在している.本研究では,時系列GARCHモデルのファイナンスデータへの適用に関するロバストな技術の研究開発や指数型確率過程モデルの離散観測に対するロバストな統計的推測法の研究開発を行うことが研究目的である. 我々は確率過程の統計モデルにおける母数推定理論の研究を行い,実際にシミュレーション実験を行った.シミュレーションでは,確率過程の見本関数を発生させ,それからの離散データに基づく最尤推定法,コントラスト推定法,マルティンゲール推定法などによる推定量を求め,それらの有効性の比較を行った.また,それらの推定において起こってくるロバストな推定法の必要性を議論した.これらの成果を論文とする準備をしている.さらに,ベイズ的なモデル適合を提案して,実数を超母数にもつディリクレ分布を事前分布として採用したときディガンマ関数の導入によってその評価が可能になることを示した(kumagai and Inagakiの論文).実際のファイナンスデータの統計解析のために,データベースの作成,データ活用技術の開発,予測と検証,表示法などを現在準備しており,リアルタイムでのデータ解析についても研究している. 従来は独立同分布からのデータに基づく手法と考えられていたものを積極的に従属データにも適用することを推し進め,そのための前提条件の検討やその結果の検討を行い,大偏差理論を時系列データで展開した(Taniguchiの論文).また,マルコフ過程従属性を持つデータに対する多様な連の分布的性質を考察し,条件付き確率母関数を使った理論と数式処理によるコンピュータ計算によってそれらの連の分布を実際に求めた(Aki and Hiranoの論文). 環境統計でよく現れる多変量空間データは,非常に多くの情報を含み多変量解析や時系列解析の手法を駆使する必要があるが,統計グラフ理論や標本バリオグラムとクリギングの適用を行い,空間データの解析を行った(白旗の論文).
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