有限要素法の誤差解析の数学的理論

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540122
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 土屋 卓也 愛媛大学, 理学部, 助教授 (00163832)
• 研究分担者: 坂口 茂 愛媛大学, 理学部, 教授 (50215620) ; 方 青 愛媛大学, 理学部, 助手 (10243544)
• キーワード: 有限要素法 / 誤差解析 / 自由環境問題 / ダムの問題

研究概要

本年度は、有限要素法の誤差解析について、いくらかの研究を行った。
まず、1次元2点境界値問題に対する区分的2次有限要素法について研究を行った。剛性行列の逆行列の陽的な公式を発見し、剛性行列の逆行列と元の問題のGreen関数との間にやはり密接な関係が成り立つこと(いわゆるYamamoto's principle)を確認した。それを使って、区分的2次有限要素解の精密な誤差解析を展開した。有限要素解の誤差は、各要素上での積分の誤差をすべて寄せ集めたものとして理解でき、誤差が初等的かつ直接的に評価できた。
自由境界問題の典型例でもある「ダムの問題」の反復数値解法についても研究を行った。ダムの問題の新たな変分原理を発見し、その変分原理の最小化列が真の解に一様収束することを証明した。これを使って、ある汎関数の値を常に減少させるような反復数値スキームが常に真の解に一様収束することを示した。ただし、この理論的な結果と実用的な反復スキームとの関係については、さらに研究する必要があることがわかった。問題は、新たに発見された変分原理の第1変分がいまだに計算できていないことである。来年度はこの第1変分を計算し、それを使った反復スキームを作る事が目標である。

研究成果

• [文献書誌] Fang, Tsuchiya, Yamamoto: "Finite difference finite element and finite volume methods applied to two-point boundary value problems"Journal of Computational and Applied Mathematics. 139. 9-19 (2002)
• [文献書誌] T.Tsuchiya: "Finite element approximations parametrized strongly nonlinear boundary value problems"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 19. 377-398 (2002)
• [文献書誌] Matsuzawa, Y., Suzuki, T., Tsuchiya, T.: "Finite element approximation of H-surfaces"Mathematics of Computation. 72. 607-617 (2003)
• [文献書誌] T.Tsuchiya, K.Yoshida, S.Ishioka: "Yamamoto's Principle and its applications to precise finite element error analysis"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 152. 507-532 (2003)
• [文献書誌] T.Tsuchiya: "Precise finite element error analysis by Yamamoto's explicit inversion formula for tridiagonal matrices"Numerische Mathematik. (to appear).