研究概要 |
平面上の整数格子点上に頂点を持つ凸n多角形の最小面積については計算機による数値実験等をおこなった結果、最小面積をnの3乗で割った量の極限値がほぼ0.0185067であることがわかった。これは素朴な予想である1/54よりわずかに小さいという点で興味深い結果である。これらの結果については論文にまとめ、現在投稿中である。さらに次元の高い場合に関しての検討を行うため、ハンガリーに出張してBarany教授との共同研究を行った。特に3次元空間内の格子凸多面体の最小体積について、zonotopeの場合の数値実験をたくさんおこなった。多重交差族問題に関しては、当初予定していたよりも進んだところまで研究することができた。当初の目標であった4重2交差Spernar族の最大サイズは完全に決定できたので、それ以降は3重2交差族に関して集中的に研究した。その結果、3重2交差族に関するErdos-Ko-Rado型の不等式を得て、これをもとに3重2交差族Spernar族の最大サイズの漸近評価を得た。これらの結果をまとめて、Journal of Combinatoricsに投稿し、受理、出版された。またドイツに出張して、これらの結果に関してZiF research year, opening conference "General theory of information transfer and combinatorics"において招待講演を行った。この国際会議においてはEngel教授とrandom walkに関して討論をおこない、今後の研究手法の材料を得ることができた。また、上記の結果は龍谷大学での応用数学合同研究集会、および統計数理研究所のISMシンポジウム"Statistics, Combinatorics and Geometry"(招待講演)でも発表した。現在はrandom walkに関するより精密な評価を利用して、3重2交差族Spernar族の最大サイズの厳密解および極値構造の決定のための研究を進めている。
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