3次元空間内の格子凸多面体について特にzonotopeの場合の数値実験を通して最小体積とprime pointsの密度との関係を調べ、今後の研究の基礎データを得た。ハンガリーに出張しこれらの結果についてBarany教授と検討した。また完全2部グラフから完全マッチングを除いたグラフの単位距離グラフとしてのユークリッド空間への埋め込み次元に関して研究を行なった。 多重交差族に関しては当初の目標以上の成果を得た。有限集合の部分集合族がr重t交差的であるとは、どのr個の部分集合もt点以上の交わり持つことである。集合族は部分集合の間に包含関係がないとき、Sperner族とよばれる。random walkに関する精密な評価を用いて、3重2交差族の厳密なErdos-Ko-Rado型不等式を証明した。さらにこの不等式と確率論的手法を用いて、3重2交差Spernar族の厳密な最大サイズを決定した。この結果は論文にまとめて現在投稿中である。Renyi Institute (ハンガリー)で行なわれた"Workshop on extremal combinatorics"でこの結果について招待講演を行なった。また東京に出張してFrankl教授とこれらの結果を検討し、今後の研究課題について議論した。さらに交差性について制限を増やした集合族に関して現在も引き続き研究中である。また指定された直線に到達する2次元random walkについて詳しく調べ、超幾何関数とも関連の深いPolyaの公式についてrandom walkを利用する別証明を見つけた。これについては「組合せ論・離散幾何研究集会」(琉球大学)で発表した。
|