研究概要 |
本年度の量子ゲートに関する研究に関しては、計算状態を表す量子状態の物理系にFock空間を考え,FTM量子光論理ゲートの再定式化を行った。 さらに、量子チャネルの符号化の定理の定式化に向けた研究の基礎付けを行った。具体的には、古典系の力学的エントロピーの量子系への拡張の試みが,Connes-Stormer, Emch, Connes-Narnhofer-Thirring (CNT), Alicki-Fannes (AF), Ohya (Complexity), Accardi-Ohya-Watanabe (AOW), Kossakowski-Ohya-Watanabe (KOW)等によってなされている.本研究では、KOW力学的エントロピーと量子相互エントロピーの定式化を基にして新たに量子系の平均相互エントロピーを定式化し、様々なモデルについて量子状態と量子チャネルに対して、一般化されたAOWエントロピーと平均相互エントロピーを計算した。 通信過程において,チャネルは入力系の情報を出力系に伝達する働きをもち,相互エントロピーは,チャネルを通して入力系から出力系に正確に伝わった情報の量を表している.通信路容量(capacity)とは,チャネルが入力の情報量を最大でどれだけ正確に出力系に伝達することができるかを測るための尺度であり,チャネル設計に関して重要な基準となっている.本年度の研究では,量子チャネルに対する通信路容量について定式化し,雑音のある光チャネルに対して,具体的に量子通信路容量を計算した. 本年度、宮寺は大矢と共に、量子計算機の停止過程についての研究を行った。すなわち、量子計算器の停止時刻は一般には、必然的に確率的なものになってしまうことが避けられず、量子計算量、計算の複雑さに関する理論の基礎を再検討する必要性を明らかにした。
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