ランダム集合列あるいはファジィランダム集合列についての収束定理は、従来から殆んどすべての研究は確率変数に"独立性(Independence)"と"同一分布(Identical Distribution)"、すなわち、IID(Independent & Identical Distribution)を仮定している。 また、バナッハ空間値をとるランダム集合列についての大数の法則の結果の多くは、その集合がコンパクト性を有しており、埋め込み定理などの方法により証明されている。 本研究ではランダム集合列(あるいはファジィランダム集合列)が従属性を持つ場合の収束定理、特に、従属性が交換可能性(Exchangeability)である場合における大数の法則を考えた。トポロジィとしては通常のHausdorff収束でなく、もう少し緩やかなKuratowski-Mosco収束を用いた。Kuratowski-Mosco収束による大数の法則については、Hiai(1985)がランダム集合が独立で同一の分布(Independent and Identically Distributed)に従う場合について証明している。また、最近ではOgura and Li(2001)がHiaiの結果を拡張してファジィランダム集合列のレベル集合が有界でない場合について証明した。このKuratowski-Mosco収束は有界でない(Unbounded)ランダム集合列の収束定理構築に適している。 ここでは、通常ランダム集合列に仮定されているコンパクト性は仮定せず、Hiaiの結果を拡張してランダム集合列(ファジィランダム集合列)が従属性、すなわち交換可能性(Exchangeability)をもつ場合についての証明を試みた。現在、この結果を応用例に繋げる試みを行っている。
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