ランダム集合(あるいはファジィランダム集合)列に関しての収束について、ランダム集合列がコンパクトでなく、従属な場合の極限定理の構築を試みた。 今まで、バナッハ空間値をとるランダム集合列について大数の法則の殆どの結果は、その集合がコンパクト性を有しており、埋め込み定理あるいはその拡張などの方法により証明されてきた。さらに、極限定理の構築上、通常、独立(Independence)あるいは独立で同一分布(Independent & Identical distribution)の仮定をおく場合が一般的であるが、何らかの従属性を仮定するほうが現実的である。 本研究では、(1)ランダム集合列(あるいはファジィランダム集合列)が従属性、特に交換可能性(Exchangeability)を持つ場合の大数の法則を証明した。トポロジィはKuratowski-Mosco収束の概念を用いている。これは、通常のHausdorff収束よりも緩やかであり、またランダム集合列が有界でない(Unbounded)場合に適しており応用面でもかなり有用である。さらに、大数の法則を一般化して重み付け総和における収束定理についても証明できた。また、集合としてのGraph convergence(グラフ収束)。にも言及できた。 (2)ファジィ条件を伴う場合の凸集合上での凸最大化問題を解くためのアルゴリズムを構築した。問題の目的関数はコンベックスであるがその実行可能領域は逆コンベックスである。 今後の研究の方向性として、ファジィ性を伴う大域最適化問題に確率過程を考慮に入れて交換可能性を持つランダム集合を導入した場合のアルゴリズムの構築が考えられる。
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