研究概要 |
桂田は、まず中尾充宏・山本野人・渡部善隆氏の論文に従って、2次元長方形領域における定常Stokes方程式、定常Navier-Stokes方程式の同次Dirichlet境界値問題の解の精度保証つき数値計算を行うMATLABプログラム(区間演算にはS. M. RumpによるINTLABというMATLABツールボックスを用いた)を作成し、数値実験の追試を行った。定常Stokes問題の場合、中尾グループの計算結果と比べて、事前誤差評価で14,5桁(一般化固有値問題のアルゴリズムに一般化Rump法を用いた場合)、事後誤差評価で3〜5桁(彼らの論文では5桁表示してある)合致した。前年度の段階では区間演算クラスライブラリィBIAS/Profilライブラリィを用いて、C++言語でプログラムを作成したが、今回MATLABで実装し直すことにより見通しの良いものに改良することができた。精度保証つき数値計算は、それ自体が証明の一部となりうるものであるから、追試と検証プログラムの公開は意義があると思われる。 桂田は一方で森本浩子氏に協力をあおぎ、一般流速条件下のNavier Stokes方程式のDirichlet境界値問題の数値実験のモデル問題を考察しはじめたが、残念ながら現時点では精度保証できる問題のタイプと解の存在の検証に意味がある問題との間にギャップがあり、成功していない。 森本浩子氏は、チャンネルR×(-1,1)に滑らかで有界な障害物がある領域におけるNavier-Stokes方程式の境界値問題の圧力の無限円での極限q+, q-が一致するかどうかという問題を研究し、適当な条件下でq+, q-の満たすべき関係式を導出した。 齊藤宣一氏は、正則半群について、時間刻み幅が一定の場合に得られている有理関数近似の誤差評価式を時間刻み幅が一定でない場合に拡張することに成功した。
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