研究概要 |
本研究の目的は、genericな構成法を用いて、Hodegesの問題およびLachlan予想の解決の糸口を見つけることにあった。そして、平成14年度はHrushovskiの構成法の一般化として、δ-genericという概念を導入し、その具体例を集めた。平成15年度は平成14年度の研究方法を継続しつつ、以下の2つの方向から研究を行った: ●δ-generic構造の安定性の研究:Lachlan予想の反例をつくる際、理論の安定性を調べることが重要になる。そこで、2003年7月に八王子で開催されたモデル理論研究集会において、若井氏、田中氏等の若手研究者を中心として研究打ち合わせを行い、δ-genericな構造の安定性について結果を得ることができた。その成果は、2003年8月でフィンランドで開かれたLogic Colloquiumで報告し、さらに論文にまとめた上で2003年11月に京都大学数理解析研究所で、その詳細を発表した。 ●generic構造の単純性研究:いままで知られているgeneric構造の多くは安定であるが、真に単純なものもある。そこで、単純なgeneric構造を調べるために、2003年9月に韓国の延世大学で開かれたKim氏主催のsimple theoryの研究プロジェクトに参加した。そこでの議論より単純なgenelic構造について新たな着眼点を得て、(δ,<)-genericという概念を導入した。そして、この概念について調べた結果を2004年1月に鹿児島で開かれたモデル理論研究集会で発表し、坪井氏、桔梗氏、福崎氏の意見を交換した。その結果をまとめて、2004年3月に筑波大学で開かれた日本数学会で発表した。
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