研究課題/領域番号 |
14540148
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
有澤 真理子 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (50312632)
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研究分担者 |
浦川 肇 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50022679)
儀我 美一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144110)
三上 敏夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70229657)
関根 順 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (50314399)
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キーワード | 粘性解理論 / 数理ファイナンス / ホモジェニゼイション / 多重スケールモデル / 非完備金融市場モデル / 最適制御理論 / エルゴード問題 / 偏微分方程式の数値解析 |
研究概要 |
本年度は、主に数理ファイナンスへの応用を考察した。特に、金融工学で非完備市場の重要なモデルとして知られる取引コスト付のオプション価格付け問題や最適ポートフォリオ構成問題の研究に着手し、そこに現れる自由境界問題を非線形放物型及び楕円型方程式を用いて解析した。通常、株価モデルは幾何ブラウン運動で表現されることが多いが現実の観測と整合しない等、幾つかの問題点が指摘されている。この困難を解決するため、現実により近い株価モデルとしてジャンプ付の確率過程が提唱され、それに対応して非線形方程式の新たなクラスの解析が必要とされている。筆者は、それを前記の非完備市場の問題と合わせて考察している。更に、得られた方程式の数値解析も、外国人研究者と進めている。以上の研究は、平成15年10月上旬(パリ第6大学)、同16年2月(エコールポリテクニック、偏微分方程式セミナーで招待講演)及び、大阪大学等への出張を通して資料収集、研究連絡、共同研究がなされた。また、筆者は平成15年度大学院博士課程の授業で、上記研究への入門として非線形放物型及び楕円型偏微分方程式への粘性解理論、数理ファイナンスに現れる方程式、数値解析の収束定理等を講義し、講義録を作成した。 以上に加えて、昨年度から継続している確率偏微分方程式のホモジェニゼイションの資料収集を行った。特に、最近粘性解理論を用いて研究されているStationary Ergodicというクラスについて最新の知見を得た。同様に、あるクラスの確率偏微分方程式の解の一意性を調べる際に現れる、非線形一階偏微分方程式の定性的性質(解の滑らかさ、ショックの発生等)の研究も行った。最後に、昨年度末から継続して考察した非線形退化楕円型偏微分方程式の解の滑らかさについては、これを北海道大学における研究集会、確率論とPDEで発表した。
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