研究概要 |
偏微分方程式のうちで,特に関数変数を持つ偏微分方程式の解の零点を研究する振動理論の構築を目指しきたが,放物型方程式と双曲型方程式に関して大いなる進展がみられた.まず,放物型方程式であるが,未知関数の偏導関数を含む方程式,即ち中立型と呼ばれる場合に関して,すべての解が振動するための十分条件が得られた.関数変数偏導関数の符号がプラスとマイナスの両方について振動結果を導くことができた.また,古典的Rosenau-Burgers方程式の一般化である,高階非線形放物方方程式の境界値問題についても研究がなされ,振動結果が得られた.更に,関数変数双曲型ベクトル方程式の解のある方向への射影が振動するための条件も得られた.従来は,殆ど単独方程式が扱われてきたが,双曲型ベクトル方程式の解の振動的性質が研究されたのは,はじめてであると思われる.今までは,双曲型方程式は離散型の中立型方程式,即ち,有限和の関数変数未知関数の導関数が入った方程式が取り扱われてきたが,もっと拡張されたcontiunuous distributed arguments(連続的関数変数)を持つ場合に対して,振動理論を作ることができた.これらの結果は2編の論文にまとめて雑誌に投稿中である.また,遅れを持つような中立型双曲型方程式の特性初期値問題についても,従来の結果を含む最新の定理を発見することができた.スロバキアで開催された国際研究集会(Conference on Differential Equations and Applications)で招待講演をし,また,研究集会(Toyama Conference on Differential Equation-2003)を富山大学で開催することが出来,大変有意義であった.
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