研究分担者 |
上木 直昌 京都大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (80211069)
上 正明 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80134443)
武部 尚志 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (60240727)
藤井 道彦 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60254231)
加藤 信一 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90114438)
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研究概要 |
1.有理函数(あるいは分子・分母に分けて多項式の組とみなす)のモジュライ空間にはAtiyah-Hitchin構造と呼ばれるPoisson構造に基づいて可積分Hamilton系を構成できることが知られているが,今回の研究では,有理函数や多項式の代わりに任意種数の複素代数曲線上の適当な有理型函数を用いて同様の可積分系を構成できることを明らかにした. 2.Wess-Zumino-Witten模型は代表的な共形場理論である.特にトーラス(複素楕円曲線)上で定義された模型ならびにその仲間(ひねられたWess-Zumino-Witten模型)は古典・量子可積分系とも深く関わっている.今回の研究ではトーラスが退化する極限においてそれらの性質を明らかにした. 3.1変数の可換微分作用素対はスペクトル曲線と呼ばれる代数曲線ならびにその上のベクトル束などの代数幾何学的データで特徴づけられることが知られている.特にベクトル束の階数が1の場合にはソリトン方程式(KP階層)の代数幾何学的特殊解(テータ函数とAbel積分で具体的に構成できる)に対応しているが,階数が2以上の場合にはそのような具体的な記述は知られていない.今回の研究では,階数2以上の場合は特殊解というよりもむしろ新しいソリトン方程式を定めるものと解釈すべきである,という着想を得て,そのLax表示(スペクトル曲線をスペクトルパラメータの定義域とするものが構成できる)を考察した.これによって,任意種数の代数曲線を伴うソリトン方程式をKP階層の枠組で系統的に扱う可能性が見えてきた
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