研究分担者 |
佐々木 隆 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (20154007)
武部 尚志 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (60240727)
池田 岳 岡山理科大学, 理学部, 講師 (40309539)
上木 直昌 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80211069)
上 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80134443)
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研究概要 |
本研究では一般種数の複素代数曲線に関連する可積分系を構成してその特徴を明らかにすることをめざし,次のようないくつかの異なる視点からの成果を得た. 1.チューリンパラメータに関連するソリトン方程式:チューリンパラメータは代数曲線上の安定正則ベクトル束のモジュライの一種であるが,最近Kricheverはチューリンパラメータに基づく可積分系の一般的な構成法を提案した.この構成法を楕円曲線の場合に適用して,代表的なソリトン方程式である非線形シュレディンガー方程式の楕円類似を構成した.多くのソリトン方程式と同様に,この方程式も無限次元グラスマン多様体のある部分多様体上の力学系に翻訳できることがわかった.この結果は一般種数の代数曲線にも拡張できる. 2.ランダウ・リフシッツ方程式と無限次元グラスマン多様体:ランダウ・リフシッツ方程式は楕円曲線に関連する代表的なソリトン方程式であるが,この方程式についても無限次元グラスマン多様体のある部分多様体上の力学系と解釈できることがわかった.ここでも楕円曲線上のある種の正則ベクトル束が基本的な役割を演じる. 3.代数曲線上の有理型函数の組で定式化される可積分系:任意種数の代数曲線上の有理型函数の組のモジュライ空間上に有限次元可積分系が構成できることがわかった.これは多項式の組(あるいはその商としての有理函数)のモジュライ空間について長年知られていたことの一般化であり,またボウヴィル系と呼ばれる可積分系の特別な場合と見ることもできる.この可積分系はボウヴィル系に対する一種の「おもちゃ模型」として役に立つことが期待される. この他,等モノドロミー変形,共形場理論,量子可積分系に関して成果があった.
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