研究概要 |
「解析接続を用いて新しい作用素単調関数の族を構成する」という本研究課題の目的はほぼ達成された。特に実多項式の逆関数については次の結果を得た。「最大次の係数が正である多項式pの解(根)がすべて実数の場合には、pの(単調増加部分の)逆関数は作用素単調である」、「pが複素数解を持つ場合には、pの逆関数は半作用素単調である。これらの結果は、2003年10月にTransactions of American Math.Soc.から出版された。これらの結果は、まったく独創的な着想の下で予想され、証明されたものであり、今後、直交多項式への応用が期待される。 また、よく知られている作用素不等式を統一した一つの定理を開発し発表した.この定理によって,多くの作用素不等式を簡単に示すことができた。作用素不等式についての結果は、Journal Mathematical Soc.of Japanの他、いくつかの雑誌から出版された。 研究分担者の幸崎教授は作用素平均について世界をリードする成果を上げた。原助教授は実関数についての有益な不等式を見つけた。 代表者の内山は、3年間に5度海外での国際会議に出席し成果を発表するとともに貴重な刺激を得た。特に、2002年8月に北京で開催された「国際数学者会議」に出席し,荷見氏との共同研究成果を発表した。12月にインドのCochin大学で開催されたStochastic Modelingの国際会議で,座長を勤めて運営に協力した他、若い研究者を対象にしたtutorial workshopでは1時間講演を2度行った。2003年6月23日〜28日にイタリアのパレルモ市で開催されたInternational Conference on OPERATOR THEORY and OPERATOR ALGEBRASに出席し45分間の招待講演を行った。2003年12月20日〜22日にインドのコルカッタ(旧カルカッタ)で開催されたISRAMAで45分間の招待講演を行った。その他に一つの分科会の座長をするなどカルカッタ数学会の運営にも貢献した。
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