研究分担者 |
吉野 邦生 上智大学, 理工学部, 講師 (60138378)
内山 康一 上智大学, 理工学部, 教授 (20053689)
大内 忠 上智大学, 理工学部, 教授 (00087082)
山根 英司 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (80286145)
岡田 靖則 千葉大学, 理学部, 助教授 (60224028)
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研究概要 |
1.複素領域での一階の正規型の非線型偏微分方程式の特異解の研究を行った。方程式が線型の時は,非特性的な曲面上に特異点を持つ様な解は存在しないが,非線型方程式の場合には,非特性的な曲面上に特異点を持つ解が実際に現れる。この問題に関して,そのような解が存在するための必要条件と十分条件について,大変シャープな結果を得た(田原)。 2.偏微分方程式の形式級数解とその解析的意味を詳しく調べた。研究成果として,ある条件を満たす1階半線形特異偏微分方程式の形式級数解が"multi-summable"であることを得た。さらに,この結果の応用として,ベクトル場の標準形を求める問題に関して興味深い結果をえた(大内)。 3.P楕円型方程式に由来する,非線形偏微分方程式の解の解析的特異性の表示を研究した。昨年度の常微分方程式の変数を多変数にしたケースに相当する。多変数のフックス型偏微分方程式の結果を応用することにより,ある種の条件を満たす解の特異点は解析的特異点に限ることが示された(内山)。 4.特に時間がゼロに行く時の漸近挙動に付いて詳しい解析を行った。応用として,Paley-Wienerの定理,くさびの刃の定理を得た(吉野)。 5.佐藤超函数の空間における超函数核の合成積作用素で全射でないものは,これまで自明なもの以外に知られていなかったが,1変数の場合に全射でない作用素が存在することを示した(岡田) 6.Ehrenpreisの基本原理によって存在を抽象的に保証される測度を球または半空間の調和関数の場合に具体的な式で書き下した。それは境界値を用いて表せる。また,半空間の(一般化された)ノイマン問題をフーリエ解析の手法で解いた(山根)。 7.n次元複素ベクトル空間内のHartogs領域Dで定義された,複素多様体への正則写像を考え,その定義域をDの正則包にまで拡張することを考えた。特異点の研究に関連して,写像が拡張できない集合(真性特異点集合)の大きさを種々の正則写像について調べ,それによって複素多様体の複素解析的な性質を研究した(加藤)。
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